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sagesaka noriko

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12月30日 仕事納め




1230ojisan.jpg


今日は夕方から友人の所に行くことになっていた。
年末のご挨拶したいけど、おじさん畑にいるかなぁと
娘と畑に行ってみた。

車があった。荷台にはキャベツや白菜が
箱にきれいに並べてあった。

おじさんはブロッコリーの収穫中だった。

 こんにちは
 ちょっと、ご挨拶に寄りました
 明日も畑で仕事ですか?

 いや、今日で終わり
 そら、これ持っていきな

そういいながら、包丁でブロッコリーを切り取って
娘に渡してくれた。
おじさんはカゴを持って、小屋の方に向かう。
2個いただいたブロッコリーを「角、生えた~」と言って頭に乗せた娘が続く。

 今年は本当に、どうもお世話になりました
 いろいろありがとうございました
 どうぞ、よいお年を

 そう、おたがいにな
 ごくろうさん

 よいお年を~

 おかあさんの手伝いしてな
 風邪引かないようにな

 バイバイ


1230hatake1.jpg
2006年12月28日の畑

昨年の秋、10月から畑に寄らせてもらうようになり、
今年の6月からこの「畑の日記」を記録し始めて半年。
知れば知るほど奥深い豊かな営みを充分に記録するには
本当に力不足であるのを感じている。
それでも来年も、観察と記録を淡々と続けることになると思う。
こうしよう、ああしようという計画や策略の元にではなく、
植物が在るように、育つように、なるように、淡々と続けてゆきたいと思う。


hajimeni.jpg
2006年5月31日の畑










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12月28日 姫そなれ




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小屋の入り口に育つ春菊。たぶん、ちょうど隙間の土に種がこぼれたのだろう。おじさんは抜かずに生かしてある

久しぶりの畑。
26日の大雨で、まだ畑の土はしっとり、場所によっては、ぬかるんでいる。
洗い流されたような昨日の晴天、畑に来る途中の坂から、
冠雪した富士山が冬の青空にくっきりときれいに見えた。
今朝は霞がかかってぼんやりした富士山だった。
畑の中も、暖かな湿度が地面から上ってくる。
12月末とは思えない暖かな朝だ。


1228ichigohatake.jpg


作物も少なくなり、収穫後にお休み中の畑も増え、
寂しくなっている冬の田んぼに色を添えているのはいちごの苗。
紅葉とでもいうかのごとく、
一番外側に伸びている葉が赤く色付いている。


1228ichigo.jpg


もうすぐ花が咲く桜の樹の樹皮で染めものをすると
それはそれは、きれいな桜色に染めることができるという話を聞いたことがある。
花に現れる色の素を、樹自体がそもそも持っているのだろう。

いちごの実がなぜ赤いか、その物語の絵本がある。
子供のとき大好きだった。いちごを赤く染めるための赤い水を作る方法が、
いつ読んでもうっとりする。大変な労働なんだけれど。


1228tsuuro.jpg


奥の畑に向かう通路は、木々の葉が落ちた上に、
おじさんが手入れをして整理したのですっきりしている。

右の丸い管沿いに植わっているのは、まるで自生しているようなニラ。
その向こう、枯れ木のような小さな木は、おじさんが接ぎ木で増やしている柿の木
道具置き場の向こう、写真の奥に黒々茂るのは「果樹園」

通路は奥の白菜畑の方に通じている。

写真の一番左の並びは、山茶花の生け垣。
赤い枝の木は、葉が落ちた紅葉。その並びは山椒が数本。
それらの木の根元に、這うように伸びているのが「姫そなれ」

 盆栽にいいんだよ
 葉が細かくて
 
 そなれって、どんな字を書くんですか?

 さぁー、知らねぇなぁ
 おれら、そなれって言うだけで
 書くときは平仮名だな

家に帰って検索してみると、立派な盆栽の作品をいくつか見ることができた。
葉が細かいから、盆栽でも姿がいいと大木のように見える。
「姫そなれ」は、普通の「そなれ」より更に葉が細かい種類のようだ。
おじさんのところには、「姫くちなし」や「姫柚」もある。
「姫りんご」が小さなりんごの実を付けるように、
どれも小振りなものに「姫」という言葉が付く。

「そなれ」は、「磯馴」。
磯に馴れる、という意味らしい。
杉の仲間のこの「そなれ」の他に、「そなれ松虫草」とか「そなれ菊」という植物もあった。
皆、葉が地を這うように、低い所に伸びている。

磯に生える植物が、風に飛ばされないように
あるいは別の見方をすれば、いつも風に撫でられているから、
地面を這うように伸びるさまが、磯に馴れた姿ということだろうか。
「磯馴」を「そなれ」。日本語はいいなぁと思う。












12月22日 芽



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収穫を終えたブッロコリーの株から、また新しい芽が出ている。
真ん中で大きくなった花蕾部分を切り取ると、
その脇から小さな花蕾が次々出てきて、また収穫ができるのだ。


1221kyabetsu.jpg


収穫済みのキャベツの株からも、新しい芽が出ている。
これがまた成長して芽キャベツができるかというとそうではなくて、
キャベツと芽キャベツは種類が違う植物のようだ。


1221kaki.jpg


 柿、持って帰りな
 ちょうどいいよ
 冬はこたつで、この冷えたの食べると
 うまいんだよ、フフフ

秋に収穫した次郎柿を小屋の中でそのまま完熟させてあり、
中はゼリーのように柔らかになっている。
頂いたのは2回目

家に帰って食べるときには、指で皮を剥く。
剥くというより、皮の皮を剥がしとるような作業。
トマトの湯むきをしたときのような、しかしそれよりももっと薄い皮が剥がれる。
皮を剥がすと、まだ球体のバランスをぎりぎり保っているけれど、
口にすると、もう形が崩れるような柔らかさ。
手に持って食べるより、スプーンで食べた方が安全だ。
収穫後すぐ、堅いまま食べるときでも種は透き通った果肉に包まれているが、
完熟柿では、果肉はトロトロ、種のまわりは透明なままツルンとした食感になっている。

この柿の滋味深い甘さは、今のように甘いお菓子がなかった時代には
大人にも、子どもにも、すごく貴重なものだったかもしれない。
というか、私にとっても感動的なおいしさだ。

いつも頂く季節の野菜のおいしさはもちろん、
おじさんに教えてもらった食べ方では、この柿と柚の砂糖付けは感動的だ。
柚は千切りのように細く刻んで、たっぷりの砂糖を混ぜて置いておくだけ。
そうすると、マーマレードのようにトロッとした甘いお菓子ができあがる。
柿も、ただ置いておくだけなんだそうだけれど、
こちらはできあがったのを頂くばかりで自分ではじめからやったことがない。
なぜなら、完熟を待つ前に食べてしまうから。









12月21日 森へ




1221morihe.jpg


 栗の枝だよ
 白菜の植わってる畑の下、
 下の森の、アパートのほうにはえてるんだよ

おじさんの後について、初めて下の森に踏み込んだ。

   *

車はあるけれど姿は見えず、奥の方の畑かなと思いながら
キャベツ畑のあたりで撮影をしていると、
小動物が通り抜けるようなガサガサという音がした。
見ると、おじさんが大きな枝の束を抱え、
通路の奥の方から、小屋に向かって歩いてきたところだった。

枯れ葉の残るその束のことを尋ねた。

 栗の枝だよ
 白菜の植わってる畑の下、
 下の森の、アパートのほうにはえてるんだよ

 ・・・・・・白菜、1個持っていきな

そう言って、奥の畑のほうにスタスタと歩き始めるので
その後をついて行った。

白菜の頭しばりをほどき、持ってきた包丁で根元から切り採った。
まわりの溶けたように汚れた葉を落とすと、
輝くような白菜が現れた。
それをポケットから出した袋に入れ、ほい、と渡してくれた。

それから小屋に戻るのかと思ったら、
白菜畑の脇の道を更に奥に進み、
そのまま下の森にどんどん入って行くのだった。
私は白菜の入った袋を朴の木の根元に置いて、
滑らないように注意しておじさんの後を追った。

今まで、特に夏場は
畑のすぐ外側も立ち入れないほどに草木が生い茂っていたが
今は下草が枯れた上に、最近おじさんが剪定や整理をしたからすっきりし、
とても入れそうもなかった森も明るくなっている。


1221kuri.jpg
写真左の奥にこんもり茂るのは夏みかんの木。その右奥に丹波栗の木々

今までは混沌としか見えなかった森も、 
おじさんと一緒だと整然として見えてくる。
ちょっと下って、右に曲がる。

 この梅はもう古いけど、
 いい花が咲くよ
 上の方は届かないから最近、手入れできてないけど

 これが栗
 丹波栗だよ
 実が丸くって大きいんだ
 みんな実生で、5年くらい経ってるかなぁ
 *実生・・・種子が発芽して育った植物


1221michi.jpg


丹波栗の木のところに残っていた
枝の束の残りの一束を抱え、またもとの道を戻る。
斜面を登って、白菜畑の脇の道に出る。
私は置いておいた白菜の袋を拾い上げ、おじさんの後に続く。

小屋のほうに戻ると、さっきの束を置いた
元にんじん畑の上に重ねて置く。
冬場、風で土が舞って飛び去ってしまうのを防ぐためと、
完全に乾燥したころに焚き火に使うためだと思う。


1221tatami.jpg
束を作るときに使う畳の縁の織物を片付ける。「これが一番丈夫でいいんだよ」

 おっかないから入らないよ

以前、弟さんが農作する下の畑の奥の森には
おじさんでも入らないと言っていた。
この白菜畑の下の森もそうなのか思っていたけれど違った。

下の森の存在は、別に秘密というわけはないのだろうし、
今回、ご一緒できたのも、
伐採した枝を運ぶという作業の途中だったからだ。
でも、おじさんに下の森に連れて行ってもらえたことで
私はとても幸せな気持ちを感じた。

最近の新発見だった小さな広場も、今日の下の森も、
とてもいい感じで居心地のよい場所だった。









12月20日 夕方の畑




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今日は午後3時過ぎに畑に行った。
既に西日。朝とは逆の方向からお日さまが畑を照らす。


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くちなしの実の色は、西日でより鮮やか。


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通路の脇のツツジの葉の紅葉もより鮮やか。
冬の畑に花が咲いたようだ。


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小さな広場から見上げた空

ずいぶん、木々の葉が散った。
どの枝も伸びるべくして伸び、描かれた線。
意志のある線は、それだけで力がある。
たとえ、糸のように細くても。

葉が落ちると、鳥の姿がよく見える。
まだ落ちずに残った葉かと思った瞬間に
飛び立つ目白。


1220biora.jpg


おじさんがトラックを停める脇の花壇。
新しい花の苗が植えられていた。
それを見て、春を想う。

これからどんどん寒くなる季節なのだけれど、
植物はもう春の準備をしている。
葉が落ちるということは
もう次の新芽が出来て成長を始めているということだ。
いちごの苗も、(たぶん)地中の深く、深くまで根を張り、
結実に向けての基礎作りを着実にしている。

例えば、植物の目に見えないような成長をじっと待てるようなゆとりが
人の心の中に少しあれば、もう少し世の中の空気が
心地よいものになると思う。









12月19日 落ち葉プール




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キャベツ畑の奥の
小さな広場の一角にある
落ち葉プール。
堆肥を作るための
落ち葉プール。

秋になるまでは、トタン板で蓋をされていたが、
落ち葉の季節になってから開かれている。
昨年の落ち葉で出来あがった堆肥は、既に大きな袋に詰め替えられて
小屋の中で眠っている。
プールは今年の落ち葉で、今まだ半分くらいの深さ。


1219ochiba.jpg
廃材を利用し、もちろんおじさん自作のプール

 これに目一杯入れても、
 半分ぐらいになっちゃうよ

 堆肥に向いてる葉ってあるんですか?

 そうだなぁ、こういう薄っぺらいのより
 ちょっと肉厚な葉のほうがいいんだけどな
 養分をそのぶん貯めてるわけだからな
 でもまぁ、何でもできるんだ

 このあたりの落ち葉を集めるんですか?

 そう、でも足りないからな
 本家に行って、集めてくるんだ
 この松葉も、地震の時の炊き出しするのに
 焚き付け用にためてあるんだけど
 地震、来やしないな、ハハハ

この落ち葉プールの外側に積んである以外にも、
畑の中の数カ所に、松葉を積んであるところがある。
何かに使うのだろうとは思っていたが、
おじさんがそんな考えでためてあるとは思いつかなかった。
町内会でいろいろな役どころを担っているのは知っているが
本当に、頭が下がる。














12月18日 うたかたの日々




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ヴォリス・ヴィアンの「うたかたの日々」は
手放せない本の中の1冊。
今朝のレタスの葉に踊る光の粒を見て、久しく手に取っていない
彼の本の始まり、コランの朝の描写を思い出した。


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同じ物語でも、いつ読むのか、例えば年齢、状況などによって
違うところが響いてくるのが、
物語のおもしろいところの一つであると思う。
そしてそれは、作者の意図を遙かに超えるであろうと思う。
それがまた、とても興味深く不思議さを感じる。


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農作することは、物語を作り、書き、表現をすることとは
いっけん、全く違う営みのように見える。
道具だって、作業環境だって。
しかし限りなく、根は同じものだという気がする。
つまりは、生きてゆくために、どうしても必要なことだからだ。

それは個人にとって必要という場合と、
もっと広い範囲に必要な場合もあるだろう。
ときどき愉快に感じるのは、個を極めると翻って
普遍に変ずることだ。
個の確保ができない限りは、普遍もあり得ない。


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いちご畑のいちごの苗たちに
際立った成長ぶりはほとんど観察できない。
しかしよく注意してみると、着実に身を充実させている気配を感じる。
具体的に葉が増えたとか、茎が伸びたとか、わかりやすい変化を
指摘するのはむずかしいのだけれど、
じっくりと何かが養われている充実を感じる。


1218sora.jpg


 よく、会ったもんだ

一人で歩き回った畑を後にして坂道を下っていると
向こうからおじさんが軽トラックで登ってきた。
車中から手振りで、畑に戻るよう促すので、車の後について、
すぐ先の、小屋側ではないほうの入り口に歩いて戻った。
おじさんは駐車して車からちょうど降りたところで、そう言って笑った。

 大根、一本、持ってきな
 今朝は冷えたなぁ

今、駅のほうにあるお宅の庭の手入れを頼まれているそうだ。

 今日でだいたい終わる予定なんだけどな
 高いところの枝はさ、
 もう、若い衆にやってもらって、
 俺は剪定した枝の掃除、フフフ

車から降ろした大きな袋の中の葉や枝を、
大根畑の外側の、森に近い方の樹の根元にまく。

 袋、入れなくていいか? 

 いいですよ
 でも、盗んで抜いてきたって思われるかな

 ハハハ

"若い衆"は、いい勉強をしているのだろうなぁと思う。
抜いたままの土付きの大根を持って、帰路につく。









12月15日 雨上がりの朝




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藁はこの前のお飾りの残りだろうか?

今日は雨上がりの、ちょっと暖かな朝。
続いていた仕事が、昨夜とりあえず一段落したので、
おじさんは来ていなかったけれど、畑をのんびり、ひと回りした。

細いネギの苗が一列に植えられている。両側に枝。
(紛らわしいが、左の細い葉はラッキョウの列)
寒冷紗のトンネルもそうだけれど、豆を蒔いたばかりのときや、
まだ発芽したばかりの芽や、幼い苗はそうやって保護する必要がある。
そうしないと、カラスが来て豆をほじくり返して食べてしまったり、
猫が来て掘り返したり、踏んづけたりしてしまうのだそうだ。

たぶんこの枝も、猫避けだろうと思われる。
そしてこの細いネギはきっと、太ネギの収穫の時に
あった細いネギを残しておいたのだと思われる。

先週、いただいて帰った太ネギの中に2本、細いネギが混じっていた。
この細いネギも、おじさんの手にかかって時間を経ると
りっぱな太ネギに育つというわけだ。
そもそも、今、見事に育ったネギ畑の太ネギも
元はこんなだったのだ。


1215komatsuna.jpg
小松菜&空豆畑。青いアーチのある畝が空豆

小松菜と空豆の畑では、収穫済みの小松菜の畝に、数本の小さな苗が残っていた。
桜の木の下で休憩中も足元の雑草を抜くおじさんだ。
この残し方は、きっと、そのまま育つまで置いておこうという意味だろう。


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キャベツ畑と小さな広場の境に植わっている山椒の木

小松菜以外にも、キャベツやほうれん草、レタスも、歯欠けのように
ところどころ収穫されていた。ブッロコリーもカリフラワーも。
寒くなった畑では必要な分を必要なときに収穫しているように感じる。
毎日毎日、どんどん実って赤くなってしまうトマトや何かを収穫し、
手を入れ続けないと間に合わないような春夏と違って。
霜が降りてからのほうが、更に旨味を増す冬の野菜達。


1215eda.jpg


葉が落ちて、何となく全体の見晴らしが良くなったせいもあるが
畑の中の木々の枝は剪定され、ずいぶん整理されていた。
写真はキャベツ畑の奥の、小さな広場。
初めて入り込んだときには見えなかったけれど、
何度か入ったあと、先日はおじさんと一緒に入ったので
どれが何の木で、どういう由来かをうかがったら
俄然、その広場の中の構成がよく見えるようになった。

先日、鈴なりだった小さな柚、姫柚の収穫が終わり、
枝が払われていた。
山椒の木はずいぶん枝がすっきりしていた。
月桂樹の木も、次々出てきてしまう細い木は間引かれていた。
そんな木々の幹や枝は、払ったあとにこんな風に束にして乾燥し、冬の焚き火になる。


1215monooki.jpg1215edataba.jpg


木々の整備だけでなく、それ以外に畑の中にある
道具置き場も、すごくきれいになっていた。
作業はずっと続くわけだけれど、もともときれい好きのおじさん、
暮れは畑も大掃除で、気持ちよく新しい年を迎える
準備なのかもしれない。
夏に夏の、冬には冬の、季節の仕事というのがあるというのが
本当のこと、自然なことなのだというのが、
おじさんの畑に通っていると、感じることがよくある。


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小さな広場に2本植わっている椿が蕾をいっぱい付けていた










12月13日 胡麻に住む者/荒神さま




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9月7日に刈り込んだ時に、胡麻の枝から手折ってきた一枝。
その日に花瓶に挿し、花が咲き終わって、胡麻が実り
枝も葉ももうカラカラになっているのにまだ今もそのまま。


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なぜなら、胡麻に住む者が、まだ今もいるから。
10月の末に胡麻が実って、サヤが口を開けた。
そしてもう、刈り入れから3ヶ月が過ぎた。


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ちょっと痩せたように見えるし、手足が更に伸びただけのようにも見える


花瓶は、台所の窓のところ、ちょうど目の高さにいつも置かれているので、
毎日何度も目にするし、花瓶を持ち上げて彼らを確認する作業が日課になっている。
最後に残った2匹は、一体何を養分にしているのか、
それとも何も必要ないのか。
越冬するほど長命なのか、
室内が暖かだから生き続けているのか。
普段は、胡麻の実がまだ残っているサヤの中や
閉じるように枯れた葉の内側の、谷線にじっと潜んでいることが多い。


1211goma3.jpg
水は時々交換して絶やさないので、水を飲みに降りて来ることもあるのだろうか?

撮影のため、室内でも明るい所に移動させたら
珍しく揃って2匹が出てきた。
普段、花瓶を持ち上げて観察する際にはほとんど動じることはないのだけれど
持ち歩いた上に、明るくて暖かなところに急に来たから
驚いたのかもしれない。


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サヤがベッド。2匹の棲み分けがあるのかないのか、あまり一緒に居ることはない

どこかに飛んで行くならそれが良い、と
天気の良い日に、何度か花瓶ごとベランダに出した。
夕方見るとそのまま枯れた胡麻の枝に居るので
もう、その試みもやめてしまった。
羽があるのに、どうして飛んでいかないのだろうか。



*********************************************



今朝は遅刻して保育園に行った。
用事があるので、時間がなかったのだけれど、
おじさんの車があったので、ちょっと畑に寄った。
今朝はカメラも持って行かなかった。
小屋の近くにいたおじさんが、笑って出迎えてくれた。

 おはようございます
 今日は遅刻しちゃって、こんな時間

 おはよう
 今朝は、あったかだったから
 今、正月飾りを作ったんだ
 来たら手伝ってもらおうと思ってたんだけどな
 もう、作っちゃったよ、ほらこれ

小屋の中に入って、出来上がりを見せてもらった
いつものことながら「見事な仕事」という出来映え。
断裁した切り口が際立ってシャープだ
見慣れない形の正月飾りなので、他の物と比べることもできない
無知な私だが、出来映えが秀逸なのは間違いない。
素人目にも、仕事が美しい。

 あぁ~、残念
 もっと早く来れば良かった
 作るところ、見たかった

 これは、荒神さまの飾りだよ
 神社にお札買いに行って、ここに付けるんだ
 もうすぐ15日だろ、それまでに作っとかないとなんないし
 寒いとよ、手がかじかんじゃって上手く綯えないけど
 今朝はあったかだったから

 綯うときに反対側を持って押えておくんでしょう?

 そうそう、自分の足で押さえてだとやりにくいから
 手伝ってもらおうと思ってさ

 子供の時に、おじいちゃんやおばあちゃんが
 縄を綯うの、手伝いましたよ
 あぁ、手伝いたかったなぁ

 あったかいうちに作っちゃおうと思ってな

せめてカメラを持っていけば、完成品を撮影できたのだけれど。
作業の様子も見たかった。その様子の撮影もしたかった。
でも、手伝っていたら、カメラは構えられなかったかもしれないけど。
それにしても、とっても残念。









12月11日 梅




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寒い寒いと思っていても、
畑の作物は着実に成長を続ける。
空豆も、小松菜も、半月ほどでこんなに大きくなった。
空豆は、青のアーチより背が高くなり、
小松菜は既に左端の畝から、すでに収穫され始めている。
11月29日はこのくらい。


1211mori.jpg


イチョウの木はすっかり葉が散ってしまった。
今朝は、一番大きな欅の葉が散り、
斜面の下から吹き上げる寒風に乗って高く高く吹き上げられ、
ゆっくりと舞い、横方向に流れながら
長い距離を降りてくる。

木の葉が散っているのではなく、
天から舞い降りてくるような
その動きは、見飽きることがない。


1211ichou.jpg
木の下は一面イチョウの黄色で染まり、地面が発光したように明るい

今朝のおじさんは果樹園の手入れ中。
その後、里芋を掘るために奥の白菜畑に同行。

里芋の収穫後、茎や葉を土に返すよう、放って捨てておいた場所。
小さい芋をつけたままの根から、芽が伸び、
それが立派に育って、里芋ができている。

 こうやって、また生えてくる芋は、
 強いやつなんだ
 ちっさいのは、丸ごと蒸して食べるといいよ

場所は白菜畑の外側。写真では、つきあたりのネットの向こう側。
写真ではわかり難いけれど、ネットに沿って、数本の梅の木。
どれも最近剪定された様子。

 梅は、今、剪定する時期なんですか?

 そうだよ、冬の、まだ、蕾が大きくなる前にな
 正月過ぎて、蕾が膨らんでくると
 さわっただけで落ちちゃうからな


1211hakusai.jpg
ヒヨドリが白菜を食べに来るので、鳥よけの光り物を作ったのだそうだ

ここにある梅はすべて違う種類で、
どれもおじさんが挿し木した苗から育てているそうだ。
どれもせいぜい20年くらいだろう、と簡単に言われてしまって感服する。
それから、1本1本の説明を聞く。

 これは、垂れ梅だろ、自然に枝が垂れてくるんだ
 あっちは、赤いのと白いのと両方、花が咲く
 「思いのまま」って名前
 お寺に一本持ってったんだけど、
 咲いてるの見るとみんなびっくりするらしいよ
 
 これは「八重豊後」
 ぴんく色の花が咲くよ
 杏子系なんだ
 こっちの紅梅は「紅千鳥」
 花は少ないんだけど、いい色だよ
 最近じゃあ、摩耶紅梅なんかが流行だけど
 枝にぎっしり花が付くんだ、新しい品種はよ

 向うのは白梅で「白加賀」っていうんだ
 花は普通、大したことないんだけどな
 実が大きくて、種が小さいんだ
 肉が厚いの
 だから、梅酒や梅干しにいいんだよ
 今は南高梅が流行だけどな
 昔はほとんど白加賀が主だったよ

 
1211kinoshita.jpg


里芋を箕に入れて、小屋のほうに戻る。
酒屋さんが、配達の途中、暖かなペットボトルのお茶を
差し入れしてくれてあった。
桜の下で休憩。

 青軸ってのが、いいんだよ
 花びらがまっ白なんだけど、
 ちょっと黄色がかってて
 小さい花なんだけど
 香りがすごくいいんだよ
 黄色く白く咲くんだよ
 奥ゆかしくって、いい花だよ
 盆栽にするといいんだよ
 花のあとはまん丸な小梅ができてな

それから、日曜の町内会の餅つきの報告、など。
私は週末、風邪で発熱していたのだけれど
おじさんは風邪はほとんどひかないそうだ。

 3,4年に1回くらいだなぁ
 でも、休んでるとかえって体の調子が悪くなるんだ
 休まないで畑出る方が、早く良くなるよ、フフフ

来春は、近くの梅園が見頃の頃には、
いつもよりゆっくり散策して、梅の種類を観察してみようと思った。
それにしても、どうしておじさんはこんなにいっぱい
野菜や花の品種名を覚えられるのだろう?









 

12月8日 豆の手




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今朝はおじさんが畑に来ていた。
立派に育った、太ネギの収穫中。
写真はネギ畑の横に育っている、豆のツル。
キヌサヤとグリーンピースとスナップエンドウを植えたと
聞いたけれど、どれが何だかわからない。


1208tsuru2.jpg


ネギ畑の並びのほうれん草畑は、
あっという間に収穫の時期を迎えた

 いつもより、遅すぎるからどうかなぁと
 後から蒔いたやつの方が
 ちょうどいいくらいだよ
 こんな早くちゃ、正月までもたないよ


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豆の畑の畝は、
豆、カブ、豆、小松菜・・・というようになっている。
豆が大きく成長して茂る頃には、
収穫済みのカブや小松菜のスペースが
豆のものになるはずだ。

 豆は11月4日に蒔いたのに、
 今年は(生育が)遅いな
 カブや小松菜も、なかなか大きくならないし
 孫娘がカブ、好きなんだ
 
 
1208tsuru4.jpg


 日曜の町内会の餅つき、
 おじさんは行きますか?

 俺はもう、行かないよ、
 行くと何でも任されちゃうからな


1208tsuru5.jpg


 餅をつくときには
 返し手が上手でないとな
 真ん中が薄くなるよう、
 端から薄く返すんだ
 横でやってると、水やノリが飛んできて
 眼鏡、みえなくなるよ
 顔もばりばりになるし
 丸ごとひっくり返すようじゃ、
 厚くってうまくつけないし、
 だいいち音がよかぁないよ
 

1208tsuru6.jpg


奥のキャベツ畑のところの
カリフラワーを収穫に行く。
帰り、歩いて帰るのが大変すぎないようにと
小さめの大根、太ネギ、それに
カリフラワーをいただいた。


1208ojisan.jpg


 今日はまた忘年会だよ
 柚とネギ、今年も(お店に)持ってってやるんだ












12月7日 寒い朝


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薄曇りで、空気が冷たくて、枯れ葉が散る朝。
初冬のパリの街を頭の中でイメージして、保育園まで歩く。
排気ガスのにおいや街の音を思い出しながら。
そうすると朝の寒さも、そんな悪いものでもない。


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散るに任せたイチョウまみれのブッロコリー畑。寒さと霜のおかげで、紫になって、おいしそうになってきた

寒くなったせいで朝が遅くなったのか、
それとも私のタイミングが悪いのか、
娘の登園時間には、なかなかおじさんに会えない。
ここのところ私も日中、畑に行く機会がないので
たぶん入れ違いになっているのだろう。
その証拠に、畑に行くと
おじさんの作業のあとが
ここ彼処にうかがえる。


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12月6日 霜




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朝、家の窓から外を見ると、
家々の屋根や、駐車場の車に霜がおり、
まだ朝日の当たらないところは白く色が変わって見えた。

畑の横の道路を通ると、畑にも霜が降りて白くなっていた。
今年初めて目にする光景。
しかし、娘を保育園に送り届けたあとに畑に寄ると、
既に、霜は解けていた。

おじさんは来ていないので、
勝手に畑の中の方に入ってゆく。
元サツマイモ畑に白いものがぱらぱら蒔いてあるように見えた。
近づいて目をこらすと、今年初の霜柱だった。


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霜の柱が立っている。
残念ながら、ピンぼけ。
アリが来たら、氷の宮殿入り口といったところ。


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キャベツ畑奥の、小さな広場で小鳥観察。
今朝は目白が、まるで雀の群れのようにいっぱい。
にぎやかな鳴き声。
その広場に入るところの生け垣の1本が、
純白で小さな椿、わび助であることに、今日気が付いた。


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その足元に、万両。


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道路から畑への入り口。
おじさんが車を止める場所の、その横の花壇の、
水仙の芽が伸びていた。


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この前、気が付いた、花壇に植えられた花の苗。
何かの花の苗だと思うのだけれど
おじさんが居ないのでわからない。











12月2日 夕方の畑

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日中は良い天気だったけれど、
家に帰る夕方には、風がけっこう冷たくなってきた。

ちょっと回り道をして、
畑に寄ってみることにした。
今日はいるかなぁ、もう帰っちゃったかなぁと
娘と話しながら歩いた。
カーブを曲がると、おじさんの車が止まっているのが見えた。
娘が走り出し、車の向こう、小屋の方をのぞくと、
桜の木の下におじさんと弟さんが座ってお話中。
今日の仕事が終わって、一段落というところ。

 こんにちは~

 おぅ、寒いのに出てきたの?
 おかあさんと、買い物か?

 注射、行ってきたの
 泣かなかったよ

 ほぉ、そうか、そうか、ハハハ
 えらかったな、泣かなかったか
 ほうれん草、持って帰りな
 今、おじさんが採ってやるから

 
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ほうれん草畑の中で、
一番最初に種を蒔いた畝からほうれん草を、
奥の畑と三角畑の2カ所でカブを。
娘はおじさんのあとについて回って
一緒に収穫。

夕ご飯に、油で炒めて塩をしただけのほうれん草を
おかわりして食べた、娘。


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ほうれん草を洗うとき発見した小さなカタツムリ。お皿の直径10センチ









11月29日 静かな畑




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青い棒を半円型に差し込んである畝が空豆。青々茂っている方が小松菜


すっかり寒くなってきたけれど、
畑では空豆の芽も、ゆっくり、大きくなってきた。
11月8日に寒冷紗越しに撮影した空豆の芽
一番左側のネギのように細い葉は、らっきょう。


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森の木々も少しづつ紅葉している。
一番手前の畑、左からブロッコリー、イチゴ、空豆。
右側の、一段上がったところに、最初の写真の空豆と小松菜の畑がある。
ここは夏まで、胡麻畑だったところ。

奥の畑、一番左側のほうはブロッコリーに隠れて見えにくいが
左からカリフラワー、キャベツ、三つ葉。
右側の、一段上がったところは、今はお休み中。
厳密に言うと、空豆と小松菜の畑から続けて、
らっきょうが一列植わっている。
それから、収穫済みのニンジンを土をかぶせて活けてある。
ここは、この前まで、里芋と八頭が育っていたところ。

この更に奥、生け垣の向こう側に
イラガの繭の付いた栗の木などが生えている、
小さな広場がある。
そしてその先は森。


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小屋とキャベツ畑の間くらいの場所に生えている銀杏の木。
だんだんに葉が黄色になってきて、存在感が際立ってくる。

保育園の娘のクラスでは、月曜の絵画の時間、
教室ではなく園庭に出て、描きたいものを描いたそうだ。
毎回廊下に張り出される子供達の絵を見るのが楽しみなのだが、
今回はこの銀杏の木を描いている子供もいた。

買い物の途中に通りかかったら、
ふれあい花壇に葉牡丹が移植されていた。
だから、今日の畑には、もう葉牡丹はなくなっていた。
今朝は、小屋の前、おじさんが車を止める場所の横の花壇に
新しい花の苗が植えられているのも目に付いた。

私がなかなか畑に寄る時間がないのと、
そうかと思うと時間がある日は雨だったりとタイミングが悪く、
おじさんには、しばらくお目にかかっていない。
畑に寄って、一回りできると本当に気持ちが良くなるし、
おじさんがいつも通り仕事している気配も感じるのだけれど、
おしゃべりできないのはちょっと寂しい。