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2011年10月25日 とんぶり




白菜


1カ月ぶりくらいに訪ねた畑。
野菜が元気に育っているのは、
おじさんも元気に畑仕事をしている証。

 運動場だからさ、ここは
 フフフ

畑の中、あとについて歩いているとき
おじさんが振り向いて、そう言って笑った。


いも

 
 ん、これで3年目くらいかな
 だって、ムカゴっから育ててるからよ
 こっちのほうは種芋用だな
 こっちの大きい方は持ってくといいよ
 これから干して乾かして、根と土をきれいにして
 包んでおくから、あとで寄れる?
 持って帰るといいよ

三角畑のほうで掘り出した山芋を小屋の前に広げる。

 これ、芋掘り用のズボンなんだ
 芋は蔓から乳が出て、こんなふうに黒い染みになっから
 みっともないからよ、
 芋掘るときだけはく、汚れていいズボン


ぎんなん


 昨日はみんなでぎんなん剥いたんだ
 植木屋がよ、こんなおっきな袋に6つも持ってくるんだよ
 置いといて柔らかくなったのを剥くんだ
 それを洗ってこうやって乾かすんだけど
 乾かしすぎると中の実まで乾燥して硬くなっちゃうからな
 今日なんかは、もうそろそろいい頃だよ

 
おじさん

 
 ぎんなん用の殻向きってあるんだな
 ペンチみたいになってんだけど
 途中で止まるんだ
 だから殻だけで、実まで潰れないようになってんだ
 ん、そうだよ、ぎんなん専用
 こういう普通のペンチじゃ、実まで潰しちゃうもんな
 ・・・・・・ほら、ちょうどいいよ、乾き具合も
 これっくらいがおいしいよ
 これも、持って帰るといいよ


ほうき草2


 この前、言ってたほうき草
 できたんだけどな、
 種、ものすごく小さいんだ
 これ、種類が違うのかなぁ
 とんぶりの作り方ってのは、新聞切り抜いて取ってあるからわかるんだけど
 ほら、こんなに小さい種なんだよ
 売ってるとんぶり、もっと大きいだろ?

 茹でると膨らむんじゃないんですか?

 そうかなぁ


ほうき草1


 まだ種が緑のときのほうがよかったのかなぁ
 これ、来年はこぼれ種でいっぱい出るだろうな
 

小屋


日射しが強く眩しくて
でも、風はさすがに秋の風。












2011年9月10日 小さな麦わら帽子




小屋前


事前に連絡をしないで、おじさんの畑に向かった。
畑の見えるところまで近づくと、おじさんの車がなかったので、がっかり。
畑の前まで来ると小屋の扉が開いていて、
桜の木の下には水筒と麦わら帽子。
荷物を降ろして振り返ると、おじさんが小屋の前にいた。

 よく、来れたな

 おひさしぶりです、よかった、会えて

家の前が工事で、車が出せず、畑まで歩いてきたとのこと。
桜の木の下に並んで座っておしゃべりをする。
ぶり返した暑さでも、木陰の風は涼しい。

すると、畑の向こうの方からおかあさんと男の子たちが歩いてくる。

 いい? おかあさんが戻るまで、
 おじいちゃんと一緒にいるんだよ

おかあさんはそう言って、
おじさんが小屋の中にあめ玉をとりに入っている間に
来た道を戻っていった。

 そら、好きなの取りな
 おばちゃんにも、1つな
 おかあさんは何か採りに行ったか?

1人の男の子が恥ずかしそうに、私にあめを1つ持って来てくれた。

 曾孫だよ
 いとこ同士
 こっちがお姉ちゃんとこの子で、こっちが妹のほう


3人


言いつけを守るために、というより
興味津々で、おじいちゃんの後をついて回る子どもたち。
おじさんが子どもたちに話しかけるのを遮って、
  
 おじいちゃん、これ何?
 
 おじいちゃん、下、おりていい?

 あっちは何あるの?

 
帰路


そのうち、おかあさんが戻ってくる。
5時をまわって、おじさんが帰らないと家でおばさんが心配する。
今日はたぶん、お孫さんと子どもたちがお迎えにきたことはご承知だろう。
皆が帰る道を途中までご一緒して、私も帰路につくことにした。









2011年7月14日 私の畑には小石がいっぱい




オクラ花


おじさんの畑になかなか行くことができないので
うちの畑の、オクラの花。
おじさんの畑にも咲いているはず。

うちの畑、「畑」と呼んではいけないような有り様。
馬鈴薯の収穫が終わったあと、
雑草とオクラとモロヘイヤが育っている。


オクラ芽


オクラの苗はJAで、モロヘイヤの苗はホームセンターで買った。
モロヘイヤはこのところ、食卓で活躍中。
おじさんに教わったように、あたらく出てきた芽の先のほうを摘んでいる。
市販のモロヘイヤは茎がついているけれど、
こうやって摘むとそのまま料理に使えて楽ちん。
みそ汁にいれたり、細かくたたいて、冷しうどんのつゆに入れるのがブーム。

オクラはやっと最近収穫できるようになってきた。
つぼみがいっぱいあるので、これから次々花を咲かせて
毎日のように収穫できることだろう。
ザクザク切って生のままでもいいし、
採りたてをさっと茹でて丸かじりすると、
花のような香りがしておいしい。


緑


4月から6月末にかけ、ほとんど外の仕事ができなかったので、
庭には草が青々と茂っている。
山芋の蔓は椿や山茶花や槙の木に駆け上り、
庭全体がモコモコしている。
緑のグラデーションはそれはそれは瑞々しくきれいなのだが・・・・・・


庭


ご近所の手入れされた庭をみて家に戻ると、
庭というよりジャングル状態で
人が住んでいる家のようには見えない。
地面続きで迷惑をかけるご近所がないのが
いいような、悪いような。


石


畑は前庭とは離れて、西の庭にある。
土自体もできていないし、
手入れもしないのに、
それでも馬鈴薯がちゃんとできた。
子どもの頃、祖父母が馬鈴薯を育てるのを見て、
おじさんの畑でも何年も見て、
でも、自分で馬鈴薯を作ったのは(というか植えただけだけれど)
初めてのことだった。
買ってきたときには、小さくて弱々しかった苗が育ち、
モロヘイヤやオクラも収穫できる。
かわいいなぁと思う。

畑にする前、草刈りした草を積み重ねておいて、
畑を作るときに混ぜ込んだ。
石がザクザク出てきて、何度も手を休めた。
草を積み重ねておいたほうの土はふわふわしていた。
土壌生物が仕事してくれてあった。

並んで植えたモロヘイヤとオクラは
そのふわふわだったほうに近いほど
生育がいい。
よくしたものだ。
正直なものだ。

まだまだ大きいのから小さいのまで、
地面の中の石が取り切れていない。
瓦の割れたものや、陶器も出てきたりする。
おじさんもときどき石ころを拾い上げていた。


レオ









番外編  5月3日 本の紹介




4月に出版された本のご紹介です。装画をお手伝いしました。

今、ここにあなたといること  熱血先生と元不登校児の3000日」

cover3.jpg


私は信じていた。
人は誰かとつながる力がある。
それを促すものが演劇にはあると。(本文より)


sode2.jpg


気づきは怖い。今ある自分から変容してゆくことは怖ろしい。
でも、それを恐れずに変わっていった者は、他者と出会える。
「生きている実感」を、手に入れることができるのだ。(本文より)


yon.jpg
san.jpg


絵を描くために、本になる前の原稿をお預りしました。
ある朝、届いた宅配便。とりあえず中身の確認のために開封して取り出し、
少し目を通すつもりだったのが、
引きずり込まれて、そのまま一気に読んでしまいました。

私はひきこもりではないと思うし、
もう通学もしていないので不登校にはなれませんが、
ひとごとではない内容です。
どんな人にも聞いて欲しい(つまり読んで欲しい本)です。
お勧めです。


sode.jpg


人は人と、生きてゆく。(帯より)


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2011年4月3日 寒い日曜日




小屋


駅に着き、おじさんの畑に向かって歩く。
線路沿いの「ふれあい花壇」や道路で作業する
おそろいの上着を着た人達の姿が見えた。

今日は町会の環境委員の作業日のようだ。
おじさんは今年も委員長なのだろうか?
いずれにしても、きっと作業に出ているに違いない。
畑に行っても、おじさん今日はいないかもね、としゃべりながら
娘と一緒に坂を登る。
昨日は暖かで明るい日だったのに、
今日はくもっていて、空気が冷たい。

おじさんの車は、やはりなかった。
畑の中を一回り見せてもらおうと、中に入った。


芍薬2


畑の中の木々が、どれもこれもきれいに剪定され
いろいろな場所がこざっぱりと片付けられている。
これから木々がいっせいに芽吹き、農繁期に入る前の静かな畑。
三角畑の入り口に植えた芍薬が芽を出している。


芍薬3


花のような新芽。


芍薬1


品種ごとに、芽の形も色も違う。


山椒


これは、畑の奧の小さな広場の山椒の新芽。
わたしの家にある、おじさんの畑からもらった山椒の苗。
枯れてしまったのかと心配していたが、最近無事に芽吹いた。


小さな広場


小さな広場には、こんなものができていた。
何かを入れた肥料袋が積んである。
高床式にしてあるのは、乾燥させておくため?


イチョウ


ほかにもいろいろ聞きたいことがあったけれど、
それはまた、この次の楽しみに。


虫





長いこと、更新が滞りました。
その間にも何度か畑に行き、おじさんにもお目にかかったのですが
更新しそびれたまま、もう4月。

そもそも、同じ春などないのですが、
今年の春は去年の春とは、そしてこれまでのどの春とも
決定的に違うものになってしまいました。

それでも時が来れば、草木が芽吹き、花が咲く。
力をもらうこともあれば、ときにそれはひどく残酷です。

3月11日を境に、
お前は何を大切にして生きるのかと、
日々、問われています。
生きてきて、今までもそういう問いに出会うことは
もちろん何度もありましたが、
ここまで厳しく、突きさすような問いであったことはなかった。
それも、絶えず、問われ続けている。

朝になって目が覚める。
無事、新しい1日はやって来て、自分も娘も、室内も
寝る前と変わりがないことにほっとする。
しかし、心の底からほっとできる日はもうないなんて
今まで想像したことがありませんでした。
明るい昼間は、ほとんど以前のように日常を過ごし、
でも1日に何度も、心の内側をヒンヤリと舐め回されるような
瞬間があります。

私ができること、すべきことをするだけ。しかし。
祈ることしかできないことが多すぎて、だからせめて
祈りたいと思います。
祈りの気持ちは、無駄ではないと思いたい。
打ちのめされた心が少しでも暖まり、
小さくてもあかりが灯りますように。


亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りしたいと思います。